事例紹介 ~株式会社エウレカ様(Pairs)~

会社の規模や金額の優位性ではなく担当者との信頼関係が成功の鍵(エウレカ創業者・赤坂氏)

2012年にローンチして以来サービス成長を続け、2016年12月には累計マッチング数3200万組、累計会員数500万人を突破した国内最大級の恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」。

そのサービスを開発・運営する、株式会社エウレカの創業者である赤坂優氏と、株式会社ユニトーン代表の岡弘とは10年来の仲。岡弘は「Pairs」の立ち上げ前からプロジェクトにジョインし、Facebook広告の陣頭指揮を任され、その成長の一翼を担ってきました。

その大きな成長の原動力となったのは、会社は違えどお互いに対等な立場かつオープンな姿勢で意見を交わせるという信頼関係。今回のインタビュー記事では、その信頼関係を元に、どのようにサービスをここまでの規模に成長させていったのか、について迫ります!

会社は違うけど、一緒になって向き合えるのが嬉しかった(岡弘)

赤坂(以下、赤):岡弘さんにPairsの広告運用について相談したのは、2012年10月。サービス立ち上げの直前でしたよね。

岡弘(以下、岡):そうそう、「10月にサービスをローンチしたら、リスティング広告の運用を手伝って」とお願いされて。

赤:最初はリスティング広告の相談をしました。自社で運用型の広告をやっていくのは難しいだろうなと正直感じていたので。

岡:なんですけど、「リスティング…、今はやってないんだけど…」という話になり(苦笑)。ちょうど当時、僕たちは日本初のFacebook広告専門の代理店として株式会社ココラブルを立ち上げた時期だったんですよ。なので、「これからはFacebook広告だよ」ということで、リスティングの件はお断りして…。

赤:そうなんです、断られてしまった(笑)。実はFacebook広告に関しては、自分たちで運用しようと考えていたんです。「バナー用のクリエイティブ素材を3本くらい用意して、まわせばいいだけでしょ?」 くらいに思っていたので。でも、岡弘さんに詳しい話を聞いてみると、どうもそれでは成果が出ないらしい…と分かってきたんですよ。

岡:クリエイティブを何十本、何百本とまわして、その中で効果のいいものとコピーを掛け合わせて、メニュー自体も単一のメニューじゃなくて、これとこれとこれもあって…と、詳しく説明したんですよね。

赤:そうです。これを社内のメンバーだけで運用するのは非現実的だなと思い、運用をお願いすることにしたんです。岡弘さんとはその前にも何度か別の案件で組ませていただく機会があり、腕は確かだと分かっていました。

岡:案件を一緒に行う前に、フットサルとかやっていたよね(笑)。

赤:そうでした、初めて会った時にお互いサッカーが好きっていうので盛り上がって。もう10年くらい前になるよね。

岡:そうだね、それくらいになるかと。

赤:最初の打ち合わせの時から、岡弘さんはやっぱり頭が切れる印象がありましたね。瞬時に情報整理ができて、スピード感を保ちながら無駄がなく簡潔で。マクロを見ながらミクロも見られるという感じで。

岡:あっ、ありがとうございます! 当時は2〜3ヶ月に1回は飲んでいたよね。

赤:なので、そもそも岡弘さんという個人に対する信頼が、ベースとしてまずあったんですよ。僕はインターネット広告の代理店への発注を決める時に、有名な会社かどうかという知名度や組織の規模は関係ないと思っていて。

いくら大手でも担当者のスキルが足りなかったり、信頼関係が築けていなかったりすると、絶対に結果が出ない…。担当者が「いかにがんばってくれるか」「真摯に向き合ってくれるか」が大事。もっと言うと、クライアント本人よりクライアントの商品を理解しながら取り組む、というくらいじゃないと。

だからココラブルという会社が、立ち上がって1年目であろうとまったく関係なくて、「岡弘さんにお願いしよう」と決めましたね。 

岡:またまた、ありがとうございます(笑)。そう言ってもらえると嬉しいです。

特にクライアントよりクライアントの商品を理解する、ということはいつも考えてやっているので、そこを見てもらえているのは嬉しいですね。

僕は赤坂さんやエウレカっていう会社に対してすごく思い入れがあったし、この会社が次のステップに向けて死ぬ気で取り組もうとしているものに関われるというのは、なんかこう、会社は違うけど一緒になって向き合えて嬉しい、って感じでしたね。

広告だけじゃなく、KPI、チュートリアルなど、プロダクトに関わる相談もしていた(赤坂)

赤:Pairsのローンチ時は、岡弘さんにもベタづきで待機していただいていました。前日からホテルの一室にエンジニアやデザイナーと籠って、徹夜してやっと公開にこぎ着けたという状態で…。朝方に岡弘さんに電話なのかメッセージなのか忘れましたが、「いい? いい? いくよ!?」といった感じでやり取りをして。懐かしいな(笑)。

岡:そうそう、「今ね、ちょっと出してる! とりあえず5万円くらいで」とリアルタイムでやり取りしながら(笑)。

赤: Googleアナリティクスを見ていたら、「あ! 人が入ってきてる!」みたいな。そして、1時間後くらいに、サービス初の課金ユーザーがついに1名出たんですよ。

岡:僕は僕で、エウレカのことをよく知っているだけに、予算をどのくらい使うべきなのかとか、かなり慎重になっていて。やっぱり収益のことを気にしていたので。使いすぎたらマズいと。

赤:僕らも確かに引きはありつつも、実際にどれくらいの予算で広告を運用していけば良いのかまったく分からなくて。「岡弘さん、ちょっとやってみよう。やってみてダメだったら、もう一回考えよう」といった感じでした。

岡: Pairs初期のFacebook広告運用で力を入れていたのは、やっぱりクリエイティブでした。

赤:基本的には岡弘さんが、画像・キャッチコピー・ターゲット、この3本の組み合わせをあらゆる角度から切り刻んで効果検証をしながら、新たなクリエイティブを次々と制作していましたね。もちろん僕も一緒に、「画像、これがいいと思うんだよね」とか「これ、違うと思うんだよな」などと話しながら。

岡:お互いに「俺はこう思う」という考えをぶつけあって、週1回の頻度で効果検証をしながら改善していきましたね。

赤:リリースして1〜2ヶ月ほど経ってからは、集客だけでなく、「どうしたら新規会員登録をしてもらえるか」、「会員登録後に課金までしてもらうには」といったところにも注力していきました。「じゃあ、有料会員登録のCPAはいくらなんだっけ? 無料会員登録でいくらなんだっけ?」などというように、岡弘さんにも分析の範囲を広げていただくようになりました。そうなると当然、「会員登録までのチュートリアルをどのように改善しようか」といった、プロダクト戦略に関わることも「岡弘さん、ちょっと一緒に考えてよ」と相談し始めて(笑)。

岡:広告うんぬんは抜きにして、そこ、一番重要ですから。クリエイティブを考える裏で、「月額課金のビジネスモデルの定点ってどこなんだっけ?」とか、「いま課金している人がどんな人で、何ですぐ辞めちゃうんだっけ」みたいな分析やKPIの設計をやり出したんですよね。そうするとプロダクトの課題は何だっけ、というのが見えてくるので。

新サービス立ち上げ時は、お互いにマルチで動けることが重要。(赤坂)

赤:2012年10月のサービス開始から2013年夏ぐらいまでは、ひたすらそういう話を繰り返ししていたと思います。ただ、当時はまだWeb版Pairsそのもののクオリティが追いついてなくて…。iOSやAndroidのアプリ版もまだなかったし、いわゆる「出会い系」も同然のインターフェースや色使いだったりして、広告以外の課題が山盛りで…。そこも岡弘さんに相談することが多かったですね。

岡:広告に関してはとにかくスピードを重視していました。効果の出るクリエイティブを作っても、すぐに競合が真似してくるんですよ…。それに対抗すべく、さらに新しいクリエイティブをどんどん生み出していきました。

赤:僕自身は逆にブランディングの部分をコントロールしていました。スタジオ撮影に立ち会いながら、「ここまで露出すると、セクシー系になりすぎだよね」などと言いながら、絶妙なラインを突くことを意識しました。いくら数字がとれても、ブランドイメージが崩れたら意味がありませんから。

岡:アクセルとブレーキみたいな感じの関係で、良いバランスがとれていたよね。そして、赤坂さんがCEOから顧問になった今でも、エウレカのメンバーみなさんの考え方のベースは変わっていないなと定例会に出席する度に感じてます。

赤:そう、考え方のベースは変わっていないな、というのを僕もすごく感じていて。むしろ広告も含めたすべてのベースを、すごい勢いで作り上げた時期だったのかもしれないと振り返っています。サービスの1年目って、それこそいろんなことを同時進行で走らせないといけない。Webサイトが安定稼働するためのインフラを作る、表示のアルゴリズムをチューニングする、ユーザーの会員登録のファネルをどうチューニングしていくか、広告のクリエイティブも考える、撮影のこともやんなきゃいけない、売り上げのことも…みたいに。僕も社長の仕事をするのではなく、”何でも屋”でしたから。クリエイティブの写真素材まで探していたし(笑)。当然、パートナーに求めるものも、そういったマルチな思考と動きになってくる。ありとあらゆる相談ができて、いろんなことを助けてくれるような存在というか。だから、大手の広告代理店が「マージンを下げます」「ウチのほうが営業体制が強いです」などと言ってきても、まったく必要ないよと思っていました。

岡:こちらとしても予算が徐々に大きくなっていったので、責任もあるし、できることは何でもやっていこうと考えていましたね。

赤:確かに予算もサービス立ち上げ当初は月に100〜200万円でしたけど、半年後には月に700〜1,000万円ほどかけていましたね。ただ、「Pairs事業のセンターピンは何ですか?」と問われたら、圧倒的に“量”なんですよ。C to Cのマーケットプレイスなので、男性と女性がとにかく多く集まっていることが最重要ポイント。なので、広告運用が非常に重要だと当初から考えていました。

岡:そこの認識は大事だったよね。ウチのメンバーにも、「PairsのCPAがいくらで…」とかそんなミクロの話じゃなくて、Pairs事業において“量”がどれだけ重要かっていうことを常に共有していましたし。時にはエウレカのエンジニアに、僕がダイレクトに修正の指示を出すこともありました。

赤:そうだった。ある時、CPAが高騰してきたので、岡弘さんに「なんで上がったんですか」と問い詰めたら、プロダクトの方に不具合が見つかって(苦笑)。

岡:もしかしたら俺のせいかもしれないけど、とりあえず何かがおかしいってことだけは言わせてと。普通だったらこんな動きはしない、っていうのがあったので。

赤:たぶん、他の広告代理店だったら「あ、すみません。がんばります」という感じの取り急ぎの謝罪があって、こちらも「その分の補填をお願いします」という依頼をするといった具合に、原因も分からないままに進んでいたかも!?、と今考えると恐ろしいですよね…。

岡:広告の動きを細かく分析していると、プロダクト側の問題に気づくことも多くあるんですよね。それに気づいてちゃんとアラートを出せるかどうかも、マーケッターの腕の見せ所なんじゃないかといつも思っています。

プロダクトやサービス全体を考えて一緒に取り組めるパートナーは強い(赤坂)

赤:ところで、岡弘さんが立ち上げたユニトーンは何を目指していくのでしょうか?

岡:ユニトーンはですね、一つは今日お話をさせてもらったような、事業を成長させる上でのパートナーとしての役割っていうのは、今まで通りしっかりとやっていこうかと思っています。もう一つは、Pairsでも取り組みをさせてもらっている海外展開ですね。やっぱり世界で闘っていく上で、ソーシャルメディアの広告というのは絶対的に必要で。それを一緒に加速させていくようなパートナーと事業を行えればと考えています。

赤:長期的にはどんなビジョンですか?

岡:エージェンシーとしての事業に取り組みつつも、やっぱりそのノウハウを活かした自社サービスにはチャレンジしていきたいですね。特にこの月額のサブスプリクションのモデルを、to C、to B 含めて展開していきたいというのはあります。

赤:ユニトーンのようなデジタルマーケティングの会社は、今後も活躍の幅が広がっていくでしょうね。今、僕らのような企業が最も求めているスキルをお持ちなので。本当は僕ら自身がもっと成長して、自社で優秀なマーケッターやプランナーを抱えるくらいにならないといけないんだけど…。先にそのスキルを持っているというのは、ある意味うらやましい。あとは先ほども少し触れましたが、広告の領域だけでなく、会員登録のフローやチュートリアル、課金など、プロダクトやサービスのKPIと事業全体を考えた上で、自分たちと一緒に取り組んでくれるパートナーというのは本当に強いと思います。

岡:こちらもオープンに、相手側もオープンに、という信頼関係がないと、結局サービスは伸びないだろうなと思うし。Pairsに関しては、赤坂さんが僕を信頼してくれて、いろいろオープンにしてくれたから、僕も力を発揮できたんだと思います。テクニックはもちろんですが、そこの信頼関係はやっぱり重要かと。

赤:これはもう、すべての広告代理店の方々やマーケッターたちに伝えないといけないメッセージかもしれませんね。これからもオープンにいきますので、たくさん学ばせてください。それで僕らも成長していきたいと思います。

岡:ありがとうございます! こちらもさらにスピード感を重視しつつ、ノウハウやスキルをどんどん上げていきますので、今後ともよろしくお願いします!

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